IWCを脱退より商業捕鯨再開へ。クジラ肉の歴史と伝統料理についてまとめ

2018年12月26日、日本はIWC(国際捕鯨委員会)の脱退を決定しました。これにより、日本の領海や排他的水域において、商業捕鯨を再開することができます。ただし日本の領海に限るため、南極海などでは捕鯨は不可能となります。

商業捕鯨を禁止してから、調査捕鯨として毎年1,370頭あまり捕獲していますが、商業捕鯨となれば捕獲数が増えることは間違いありません。そのため、クジラ肉を目にする機会が増える可能性があります。

捕鯨委員会を脱退に対して、様々な意見が飛び交っていますが、私はクジラ肉の歴史や料理について皆目見当がついておりません。物心つく頃にはクジラ肉を目にする機会がほとんどなかったためです。

そこで、クジラ肉の歴史と伝統料理についてまとめていました。

日本人が鯨肉を食べる歴史

欧州や北極圏に住むエスキモーでは古くからクジラ肉は食べられてきました。中世ヨーロッパでは貴族にふるまわれる料理として、クジラやイルカなどの海洋哺乳動物を献上していた記述も見つかっています。

日本の場合、縄文時代の土器から鯨の骨を使った槍などが見つかっているため、紀元前より鯨は食べられていました。縄文時代や弥生時代などの大昔では小さな船で漁を行っていたため、漁の安全を願う気持ち、恵みを与えてくれる鯨に対する感謝の念をいだき頂いていたれきしがあります。
参照元:大西 宏のマーケティング・エッセンス、鯨肉の歴史

調べてみると鯨肉は太古から食べられてきた、伝統ある食材のようです。戦時中や戦後では貴重なたんぱく源として、鯨肉は学校給食などで食べられてきました。親などの鯨肉を食べてきた世代の話を聞くと、決して美味しくはなく、あまり食べたくはないとのことです。パサパサしており若干の臭みがあるのが苦手と言っていました。

鯨肉の漁獲量推移について

鯨肉の漁獲量はピークと比較すると大きく減っています。

参照元:水産庁食料支給表より作成

水産庁のHPよりデータを取り寄せ、グラフを作成しました。80年代より漁獲量は減少していき、90年代には消費と漁獲ほとんどありません。2000年に突入すると漁獲量が若干増えていき、近年は消費量も増加しています。最近は漁獲より消費が上回り供給不足のため、在庫や海外から輸入することによってまかなっています。

鯨肉の種類と栄養について

鯨肉として捕獲される主なくじらの種類をご紹介します。

ミンククジラ


参照元:国立科学博物館HP
体長:9m
体重:6-9t
科名:ナガスクジラ
大回遊する鯨で日本では北海道、日本海、三陸に夏見ることができます。年間約3,500トン捕獲され、供給されています。

イワシクジラ

参照元:国立科学博物館HP
体長:18m
体重:不明
科名:ナガスクジラ
関西地方で多く食べられる鯨です。年間1,200トン供給され食べられています。尾の部分は霜降りで美味のため、2,000円/100gと高額な取引をされています。

ツチクジラ

参照元:くじらランドHP
体長:12m
体重:12t
科名:ハクジラ
江戸時代から捕鯨されている古くからの食べられている鯨です。年間400トン捕獲されています。身はすぐに酸化する為、黒くなっている者が多いです。

主な3種類を紹介しました。この他にもニタリクジラやナガスクジラなどが食べられています。クジラの種類は多く80種類にもなります。今回紹介したクジラ以外も、実際に食べてみたら美味しいクジラは数多くいます。

鯨肉の栄養について

鯨肉の栄養を他の肉と比較してみました。

参照元:文部科学省 日本食品標準成分表より作成

他の肉と比較して鯨肉は「カロリー」「脂質」「コレステロール」の値が低く、たんぱく質がどの肉よりも多く含まれています。高たんぱく、低脂質で有名の鹿肉の資質の1/3しかありません。その他に血液をサラサラにするEPAや脳を活性化させるDHAを他の肉より多く含んでいます。

さらに「バレニン」というイミダゾールジペプチドを多く含んでいるため、筋肉疲労を抑える効果をもたらすと同時に、活性酸素を抑える抗酸化作用をもたらします。鯨肉は他の肉と比較して、栄養価値が非常に高いと言えるでしょう。

鯨肉の料理について

最後に鯨肉を使った伝統料理を紹介します。

<鯨の竜田揚げ>
参照元:日本捕鯨協会
酒、みりん、しょうが汁に漬け込んだ鯨肉に片栗粉をまぶして、170℃の油で揚げた竜田揚げです。主に学校の給食で出されている料理となります。パサパサしているが、癖になる味だそうです。

<鯨の刺身>
参照元:みんなでごはん
牛肉より柔らかく、するりと食べられる絶品が鯨の刺身です。特に尾ビレの肉は霜降りで、絶品と言われています。家庭で刺身にする場合は、キッチンペーパーで血抜きをしながら、時間をかけてじっくり解凍すると美味しくなるようです。

<鯨のベーコン>
参照元:くじら日和 本店
鯨のベーコンは鯨の胸から腹側の部位で、畝と須の子を合わせた畝須(うねす)や皮などを塩漬け、ボイル、燻製の工程を経てできた加工品です。脂がのっていて、そのまま食べても充分おいしいですが、炒飯やパスタにいれても絶品と言われています。汎用性が豊富な食材です。

<鯨汁>
参照元:函館市公式観光情報
江戸時代より続いている伝統料理が鯨汁です。現在でも北海道の函館や東北などで食べられており、函館では正月に鯨汁を食べることが伝統の一つとされています。作り方はシンプルで鯨肉と野菜と山菜を大鍋で煮込むのみです。味付けは塩、味噌、醤油と地域や家庭によって異なります。煮込むだけのシンプルな料理ですが、味が染みていて体があったまり非常においしそうです。

この他にも「鯨カレー」「鯨ステーキ」など鯨料理は数多くあります。


賛否はあるが鯨は栄養価が高く絶品

鯨の捕獲については賛否があり、肯定も否定もできません。今回調べて分かったことは、鯨肉は栄養価が高く、美味しそうということです。商業捕鯨が再開され、市場に出回った際に一度食べてみたいと思います。


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